
Side A
1.愛はすべての人に
2.ノット・ギルティ
3.ヒア・カムズ・ザ・ムーン
4.ソフト・ハーテッド・ハナ
5.ブロー・アウェイ
Side B
1.ファースター
2.ダーク・スウィート・レディ
3.永遠の愛
4.ソフト・タッチ
5.イフ・ユー・ビリーヴ
2004年にEMI/ダーク・ホースから再発された際に追加されたボーナス・トラック。
ヒア・カムズ・ザ・ムーン [アコースティック・デモ]
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「
ザ・ベスト・オブ・ジョージ・ハリスン」より続く。
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1978年
1月25日 イギリスのテレビ番組「ディス・イズ・ユア・ライフ」に出演。メイン・ゲストはバイク・ライダーのバリー・シーン。
3月27日 BBCテレビで「オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ」放送。
4月 アルバム「慈愛の輝き」レコーディング開始。
4月26日 アメリカで放送されたテレビ・スペシュル「リンゴ」に出演。
5月 父ハロルド死去。
8月1日 息子ダーニ誕生。
9月2日 ヘンリー・オン・テムズの登記所でオリヴィアと結婚、その後チュニジアへ新婚旅行
9月 ジョージの援助金で映画「ライフ・オブ・ブライアン」の撮影はじまる。
12月7日 サリー州ギルバートホールで開かれたエリック・クラプトンの公演のアンコールにエルトン・ジョンと飛び入り。
1979年
2月 F1ブラジル・グランプリを観戦。
2月9日 BBCラジオ「ラウンドテーブル」に生出演。
2月14日 アルバム「慈愛の輝き」アメリカ先行発売。
2月16日 シングル「ブロー・アウェイ」発売。
2月25日 アルバム「慈愛の輝き」日本発売。
4月19日 「ローリング・ストーン」誌にロング・インタビューが掲載。
4月27日 シングル「愛はすべての人に」発売。
5月19日
パティーとクラプトンの結婚披露パーティーに出席し、ポール、リンゴとともにジャム・セッションを行う。5月26日 F1モナコ・グランプリをリンゴと観戦。
5月28日 F1ドライバーのジャッキー・スチュワートを迎えて「ファースター」のビデオ・クリップを撮影。
7月13日 シングル「ファースター」発売。
7月14日 F1イギリス・グランプリを観戦。
8月22日 豪華本「アイ・ミー・マイン」発売。
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慈愛の輝き このアルバムのタイトルは、本来「George Harrison」です。
しかし「
オール・シングス・マスト・パス」で既に邦題として「ジョージ・ハリスン」が使用されていたので収録曲「永遠の愛」 の歌詞の 「The guiding light in all your love shines on」のくだりから「慈愛の輝き」という邦題になりました。
名プロデューサー、ラス・タイトルマンを共同プロデューサーに迎えて制作されました。
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ラス・タイトルマンラス・タイトルマンといえば、後年にスティーヴ・ウィンウッドのアルバム「バック・イン・ザ・ハイ・ライフ」やエリック・クラプトンの「Tears In Heaven」や「Unplugged」などの作品で大きな成功を収めることとなる名プロデューサー。
スティーヴ・ウィンウッド、エリック・クラプトンといえば「ブラインド・フェイス」ですが、本作の「愛はすべての人に」でも、この二人は共演しています。
元々、ラス・タイトルマンはワーナー関連の作品にレニー・ワロンカーのプロデュース作品に共同プロデューサーとして名を連ねてました。
ジョージはセルフ・プロデュースも出来る人なので、ワーナー側はラス・タイトルマン一人を派遣したのでしょう。
クラプトンとウィンウッドはラスのプロデュース・ワークに感銘を受けたのか、単に仲良くなっただけなのかはわかりませんが、しばらくして自分達の作品にラスをプロデューサーとして起用するようになります。
ジョージの本作でタイトルマンとの関わりがなければ彼らの後の名盤も生まれなかったのです。
ラス・タイトルマンがレニー・ワロンカーと離れてプロデュースした最初の作品が本作です。
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このアルバムの原タイトル「George Harrison」が示すとおり、これぞ僕たちの望んだ「ジョージ・ハリスンのアルバム」という内容です。
「オール・シングス・マストパス」は確かに「良い」アルバムです。
ジョージを慕って多くのアーチストが参加し、三枚組みの70年代を切り開いた名盤ではあります。
多くの豪華なミュージシャンが参加したゆえ、ジョージの色あいが薄い気がします。
「クラウド・ナイン」という後に大ヒットしたアルバムもあります。
これも「ビートルズよりビートルズに詳しい」と言われるジェフ・リンの功績が大きいアルバム。
これも好きなアルバムですが、やはり「オール・シングス」と同じ理由から「別物」感を感じます。
ビートルズで例えるなら「オール・シングス」が「サージェント」、「クラウドナイン」が「アビー・ロード」、本作が「リボルバー」の立ち位置というのは言いすぎでしょうが、ビートルズ・ファンなら判っていただけるニュアンスだとおもいます。
「チャーミングなジョージ」が一番発揮されているのが「慈愛の輝き」だと僕は思っています。
「女々しさ」をそれまで武器としていたジョージが「明るく」人生の喜びを歌っています。
パンク、テクノ全盛の高校2年の時、特に大々的な宣伝も無くレコード店で見つけて聴き「元気なジョージ」に涙が出ました。
そのときは、なぜ「元気」だったのか判りませんでしたが、ダーニ(ジョージ初の子供、よく間違ってダニーと書かれている)の誕生、そしてオリヴィアとの結婚(出来ちゃった婚なんですね)がジョージを「元気」にした原因だろう。
ジョージに興味がある人には「マスト」のアルバムだと思います。
一曲目で「僕は幸せ」というのではなく「愛はみんなにやって来る」と言ってしまうのがジョージ。
こういうところ尊敬しています・・・
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収録曲愛はすべての人に - Love Comes to Everyone -アルバムからのセカンド・シングルにもなった名曲(CDでは、シングルバージョンは「Best Of Dark Horse 1976-1989廃盤」で聴けました)。
先に言ったように、元ブラインド・フェイスの二人、スティーヴ・ウィンウッド、エリック・クラプトンが参加しています。
イントロのギター(あまり「らしくない」プレイですが)がクラプトン、間奏でのモーグ・シンセサイザーがスティーヴ・ウィンウッドによるものです。
エリック・クラプトンは、2005年に発表したアルバム「Back Home」で、ジョージへの追悼の意を込めてこの曲を取り上げています。
このバージョン、なかなか泣けます。
日本公演では横浜アリーナだけでプレイされました。「ライブ・イン・ジャパン」には未収録。
ノット・ギルティ - Not Guilty -ビートルズ・ファンには有名な曲。
1968年のホワイトアルバムの製作過程で作られた楽曲。
しかし、収録曲候補から外れ、その後もビートルズの活動中にはリリースされず、1985年に「セッションズ」というビートルズ未発表曲アルバムに収録される予定だったが、ポールの反対にあいアルバムは未発表。
後に1990年代のビートルズ・アンソロジーシリーズ中のザ・ビートルズ・アンソロジー3に当時の原曲が収録されて、ビートルズバージョンがオフィシャルで日の目を観ました。
ビートルズ・バージョンはクラプトンのアグレッシブなギターと、ホワイトアルバム時ということもあり、かなり「ロック」ですが、本作では「ブルージー」です。
ヒア・カムズ・ザ・ムーン - Here Comes The Moon -「ヒア・カムズ・ザ・サン」のアンサー・ソング。
ソフト・ハーテッド・ハナ - Soft-Hearted Hana -ブロー・アウェイ - Blow Away -アルバムからのファースト・シングルカット。
アメリカの『ビルボード』詩では、最高位16位、『キャッシュボックス』誌では、12位を獲得し、1979年度年間ランキング99位を記録しています。
A面のラストとなってます。
通常、アナログLPは、A、B共に、外側が音が良く、各面の一曲目を「ベスト・トラック」と呼びます。
当時、シングルにもなった曲が「なんで一番内側のトラック?」と思いましたが、シングルで発売していたので、他の曲を「ベスト・トラック」に選んだのでしょう。
この曲をジョンがパロっていますが、その話は後日。
ファースター - Faster — 1979年、ニキ・ラウダが、1976年のドイツグランプリでの事故から復帰したことに触発されて書かれた作品。
同曲のプロモーション・ビデオにはラウダも出演している。
1973年に発表されたジャッキー・スチュワートの自伝から引用した曲名については、「抽象的でよいタイトルだと思っている。車やエンジンに限らず何にでもあてはめることができるから」とコメントしている。
サウンド・エフェクトとして曲の冒頭と最後に流れるレーシングカーの轟音は、1978年のF1グランプリで録音されたものである。
クリップで偉大なるF1レーサー、ジャッキー・スチュワートがジョージの運転手なのが秀逸。
当時話題のティレル・P34のマシンがカッコイイ(前輪が4つあるフォーミュラー)。
歌詞カードに「ロニー・ピーターソンの思い出に」と、添えられている。
このアルバム録音時、78年にイタリアで命を落としたスウェーデンのドライバーである。
シングルカットもされ、売り上げは、グンナー・ニルソンが設立した癌基金に寄付された。
ジョージは、この曲ではボーカルとギターの他にベースも演奏しています。
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他にもオリヴィアへ捧げた曲とか、ジョージの「生きている喜び」や「愛」で満ち溢れた作品。
「慈愛の輝き」という邦題に当初は違和感でしたが、聴きこめば、あながち間違いでは無く、結構、的を射た邦題ではなかろうかと、最近では思っています。