「星からきた探偵」クレメント作 / 内田 庶 訳・水田秀穂 絵
挿絵を変えて同出版社で版を重ねています。
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あらすじ広い宇宙には、アメーバーのような知的生命体もおり、他の生命体のからだを宿主として生きていたりする。
宿主を殺すことは罪であるのだが、たまにそういう犯罪者が出てくる。
デカはそういう星の警察官。
犯人のホシを追って地球にやってきた。
が、アクシデントで宇宙船は墜落。
緊急事態で南の島少年ボブに寄生する。
が、ボブは夏休みで実家に帰っており、いつもはアメリカの本土の学校で勉強している。
宿主としては人間は高等すぎて、自分の存在をしらせる手段がないままボブはアメリカ本土へ。
早く言葉を覚え、ボブにコミュニケーションをとり、元の南の島へ戻らないと犯人のホシに逃げられてしまう。
デカたちは、宿主に寄生する代わりに、宿主の体の悪いところを直したりできる。
ケガをしても平気な自分を不思議に思うボブ。
はたして、デカはどのようにしてボブと協力して犯人を捕まえることができるのか?
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感想読みやすく面白いお話でした。
あらすじのように、寄生した宇宙人が自分の存在を宿主に知らせる方法をみつける部分も重要な鍵。
思考に直接語りかけるという手段を使っていないので、コミュニケーションに苦労する部分がおもしろくもあります。
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ハル・クレメント(Hal Clement、1922年5月30日 - 2003年10月29日)
アメリカ合衆国マサチューセッツ州サマヴィル生まれの小説家、SF作家。
本名は、ハリー・クレメント・スタッブス (Harry Clement Stubbs) 。
ハーバード大学、ボストン大学卒業。
1942年、アスタウティング誌に Proof でデビュー。
緻密な計算に基づいたハードSFを得意とし、単に新規な異星人だけではなく、生態系まるごとや惑星そのものまでデザインする手法は、後のハードSFに大きな影響を与えました。
また、代表作である『20億の針』の、人間と共生する異星人というアイデアは、数々のSF作品のなかに使われている。
たとえば、映画『ヒドゥン』や『ウルトラマン』などである。
2003年10月29日、睡眠中に逝去。
今回の本の原作は『20億の針』。
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「20億の針」あらすじある日、二隻の宇宙船が南太乎洋に墜落した。
一隻に乗っていたのは探偵でありもう一隻には犯人が乗っていた。
そしてその両者とも人間ではない。
ゼリー状の半液体の生物で、しかも、すぐれた知性と感覚をもっている。
ただ、宿主を持たないと生きていけない。
探偵は聡明な少年の体内に寄生し、悪党は、ベつな人間を宿主にした。
ここに両者の地球上での虚々実々の追跡戦が開始される。
20億の人間の中のただ一人にひそむ犯人を見つけることは、わら小屋の中で、一本の針を捜すのに等しいほどの難事ではないか!
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数々のSF作品の中、異星人が悪として描かれるのが多い中、クレメントの作品は正義感の塊のような異星人が多い。
本作はアメーバーの宇宙人だが、これの発想が進化したのがウルトラマンのようなかんじ。
1950年の作品ということを考えれば、非常に斬新である。
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内田 庶(うちだ ちかし、1928年11月6日 - )
児童文学作家、翻訳家。
本名・宮田昇。
明大仏文科中退。
戦後、近代文学社勤務。
1952年早川書房編集者になる。
退社し、チャールズ・イー・タトル商会で翻訳エージェントとなる。
その後、独立して矢野浩三郎と「矢野著作権事務所」(のち日本ユニ・エージェンシー)を興す。
ペンネームの内田名義で児童向け作品の執筆、翻訳を多数行った他、本名の宮田名義で翻訳出版史の著作がある。
妻は「SFマガジン」初代編集長の福島正実の妹。
福島が創設した「少年文芸作家クラブ」にも参加。
福島の没後に内田の提案により、「少年文芸作家クラブ」と岩崎書店の共催で福島正実記念SF童話賞が創設された。
アレグザンダー・ケイ の「残された人びと」(後の「未来少年コナン」)も氏の翻訳で昔熱中しました。
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水田秀穂氏につきましては、1954年にデザイナーの桑沢洋子により設立された桑沢デザイン研究所の出身の方だと思いますが、詳細は不明です。
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