
「宇宙家族」
E・E・エバンズ作 / 矢野 徹 訳・杉田 豊 絵
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「あらすじ」宇宙で人の住める星をや、資源を探しながら宇宙船スター・ローバー号で旅するカーパー一家。
父のタッドは地球の宇宙船がシリウスへ初めて行ったときの士官。
他の人のいっていない星に行きたくて、お金をためて宇宙船を手に入れ、家族と旅行している。
同乗しているのは妻のマーシ。
生物と薬に詳しい長男のジャック。
いつも父に宇宙船のことを聞いていた弟のジャック。
ある日、小さな隕石がローバー号に衝突。
父のタッドは怪我をして気を失う。
父がいなければ、宇宙船の目的地までの計算が出来ない。
家族は力を合わせ、目的地の新しい星を目指す。
未知の生命との遭遇。
新しい植民地を横取りしようとする宇宙海賊スリック・ポーガン。
はたして一家の運命は?
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「感想」とても面白く読めました。
作品が古いせいか、宇宙船はあくまでスピードをだして航行します。
ワープなどはしません。
で、人間の耐えれる速度の限界があり、宇宙船は限界以上のスピードを出せますが、人間が耐えれない。
迫ってくる海賊。
どうすれば逃げ切れるか?
この辺が一番の読みどころでもあります。
特に「宇宙」にこだわらなくても、とても楽しい作品でした。
昔読んだトムソーヤなどの冒険小説にも似たテイストの本でした。
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E・E・エバンズ(Edward Everett Evans 1893-1958 )
訳者あとがきより。
・・・・・・さて、この小説を書いたエドワード・エバレット・エバンズは、アメリカの作家です。高校をでるとすぐアメリカ海軍にはいり、第一次世界大戦に従軍しました。といっても、軍楽隊員としてです。
わたしは十二年前アメリカへ行ったとき、この人にあいました。もう六十以上になっていてましたが、すごく元気で新婚そうそうのきれいな奥さんといっしょによく家へよんでくれました。
この本はその二年のちにおくってきてくれたもので、日本語に訳してくれたらうれしいな、とかいてありました。いま、やっと訳せた訳ですが、かなしいことに、エバンズ老人は数年前になくなっているのです。
アメリカのSFはながい歴史をもっています。そして、その中でもっとも大きなSF賞をヒューゴー賞といいます。この賞は、いくつかに分かれており、長編、短編、テレビ、絵画というふうに、毎年その受賞者がきめられます。
そのヒューゴー賞の中で、ファンに与えられる賞は、このエバレット・エバンズを記念してつくられた賞なのです。
少年とSFと音楽をなによりも愛したエバンズ老人はいま、星の世界をかけめぐっているにちがいありません。
(1976年が初版です。「あとがき」は替わっていないと思いますので、時代考証は1976年で願います。)
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作者の人柄を紹介するステキな「あとがき」でしたので、僕が調べて記述するよりいいとおもいました。
関係者様で、問題等ございましたらご連絡ください。
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矢野 徹(やの てつ、1923年10月5日 - 2004年10月13日)
「超能力部隊」の項で紹介しています。
「超能力部隊」へ・・・・・・・・・・・・・・・・
杉田豊(すぎた ゆたか 1930年7月13日 - )
グラフィック・デザイナー、絵本作家。筑波大学名誉教授。
作家作品
「にらめっこ」(講談社)
「おやすみなさい、1、2、3」(至光社)
「ねずみのごちそう」(講談社)
「うれしいひ」(至光社)
1994年、1995年、1996年ふみの日記念切手原画作成 。