「異星人ノーチラス」ドレツァール作 / 松谷健二 訳・風間史朗 絵
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「あらすじ」電波天文学者のギュルピィ、工学天文学者のフリットン、かんきょう工学のエンジニアのビィティヒ。
三人の若者は、土星の第二惑星エンケラドゥスにおかれた、太陽系ようさいの基地のメンバーたち。
あまりのたいくつさに、こっそり土星の輪に冒険にいこうと計画。
が、レントゲンとあだ名される、なんでもお見通しのフェドロフ隊長も一緒に行くことに。
途中、楕円軌道をとりながらせっきんする、天体ではないものがあると、基地からの連絡。
あわてて基地に戻る途中、三人が隊長から聞いた話。
なぜ、最高委員会が、人類を土星の軌道の外へいってはいけないと命令しているのか?
昔、むげんの銀河系宇宙をさぐりにでた宇宙船があった。
その名はヘルメス号。
ヘルメス号と連絡が途絶え、その後姉妹船のハーシェル号が海王星の衛星トリトンでヘルメス号のざんがいを見つける。
その後、ハーシェル号と、もう一せき、ベッセル号がヘルメス号の代わりにふたたび太陽系をはなれようとしたが、ふしぎな宇宙船とであって引き返した。
なぜなら、そのふしぎな宇宙船から、無線で「太陽系をはなれてはいけない」と、警告が入ったからだ。
それは、かつてのヘルメス号の航法士、ゴードン・ビムからの無線だった。
また、船体からは光で「SOS」のモールス信号。
ビムのほかにも人間がのっているようだった。
結局、太陽系最高委員会は、人類が太陽系の外に出るのを禁じた。
はたして、せっきんしてくる物体はなんなのか?
ヘルメス号の乗組員たちはどうなったのか?
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「感想」ひじょうに科学的なお話でした。
ドレツァールはオーストリア宇宙科学協会の理事もしていた人。
僕は二十歳過ぎに「反物質」の言葉を聴きますが、この「異星人ノーチラス」には「反物質」がどういうものか、ストーリーの中でエピソードを通じて知ることが出来ます。
「異星人ノーチラス」は原題を「Festung Sonnensystem 」といい196年の作品です。
そんな昔から「反物質」は考えていられました。
「反物質」が一般に知られたのは、2009年公開の映画「天使と悪魔」ではないでしょうか?
また「白色惑星」、「光速と時間」のことなど、かなり専門的なものが出てきます。
カール・セーガンの「コンタクト」のような感じで、未来へのメッセージのようなお話でした。
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エリッヒ・ドレツァール
(Erich Dolezal 1902年11月22日 - 1990年7月17日)
オーストリアの空想科学小説家。
ウィーンの工業大学を卒業し、1930年から1945年まで、ウィーン放送局で科学番組の企画をしていた。
1949年までウィーン天文台で研究。
オーストリア宇宙科学協会の理事もつとめました。
『太陽系ようさい』 なども日本に紹介されています。
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松谷健二(まつたに けんじ、1928年8月12日 - 1998年2月9日)
ドイツ文学研究家で、翻訳家。
数多くの翻訳を手がけており、特に1971年から現在まで刊行され続けている、『宇宙英雄ペリー・ローダン』シリーズを第1巻から一人で翻訳し続け、死去するまでの27年間に234冊を翻訳しました。
またローダンシリーズ以外にも77冊の書物を翻訳しており、生涯に翻訳した書物は311冊にも上ります。
また、翻訳以外に執筆した書物も7冊あります。
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風間史朗氏については明細不明でした。