今日、古道具屋で購入のレコード。

大信田礼子さんの「同棲時代」。
けして中古にしては安い金額では無かったが購入。
洋楽でも無いのに?
と思われるだろうが、このレコードが巷でヒットしているころは洋楽すら知らないガキ。
では、なんで買ったか??
そんなに名曲か? と訊かれれば、けして上手とは言えない歌。
テレビではよく聞いていたが、レコードプレーヤーなど持ってもいなかったので、ジャケットを見るのも今回が初めて。
僕の中の「昭和」というキーワードの中に、この一枚のレコードに多くのファクターが含まれるからだ・・
といっても、僕の体験する「昭和」の「スッパイ」部分の一部なのだが・・・・
僕の性の目覚めのキッカケの女性陣は、峰不二子、蜂女、由美かおる、大信田礼子etcである。
(上記の部分で「蜂女」があるが、こういうこと(少年の性への目覚め)もあるので、顔が見えないからと、女の怪人の激しい戦いのシーンで男のスーツアクターを使うのはアカン!!。大人になってからDVDを見返したときのショックは笑い話のようだが、当人はかなりのショックである。あんなのにドキドキしていたかと思うと・・・・)
由美かおるさんは、この「同棲時代」の映画版に出ていたし、未だに好きな女優さん。
大信田礼子さんが歌うこの「同棲時代」。
テレビなどで歌う彼女を見て「綺麗な人だなぁ」と思っていたのを覚えている。
この歌より前の「女はそれをがまんできない」は、もっとエッチィ歌でドキドキしたし、
親の目を盗んで見ていた「プレイガール」でも活躍していたお姉さま。
この曲を作った戸倉俊一氏と結婚するとき、ある番組で戸倉氏へ向けて、この歌を歌う姿を見て、子供心に嫉妬も覚えた。
あと、このジャケットに写っている、春を待つ「今日子と次郎」。
これは上村一夫氏の漫画「同棲時代」からである。
上村氏のオフィシャルサイトこのトップページで泣いているのが「今日子(「同棲時代」六巻表紙)」
「大正の浮世絵師」が竹久夢二なら、『昭和の絵師』が上村一夫である。
上村氏の書く女性の纏う悲壮感は夢二と共通する空気があると思うのは、けして僕だけではないと思う。
子供の僕が、当時「同棲時代」を連載していた「週間漫画アクション」を買うはずもない。
実は当時、島に住む僕は月に一度島を出て床屋に行くのが楽しみだった。
床屋では普通の漫画を読むのだが、散髪が終わると母の仕事場の休憩室で一人、母の仕事が終わるのを待つ。
母の仕事場はフルーツパーラー(私語だな・・)で、その上にあるマンションの一室が休憩室になっていた。
そこには色々な雑誌があったのだが、その中でも上村一夫氏の絵は綺麗だった。
時代的に僕が観ていたのは、氏の「サチコの幸」だと思う。
母の同僚が入ってくると、あわてて本を閉じてた。
(別に「漫画アクション」はエロ本ではないのだが、ホッチキス二点止めの本は読んではいけないと勝手に思っていた)
休憩室には、母の同僚ばかり、当然男と呼べる生き物は僕ぐらいだった。
母の同僚と言っても、十代の綺麗なお姉さんが多く、キャンディーを貰ったり、結構可愛がってもらった。
また、子供の僕に無警戒で着替えや悩み事の雑談をしていた。
女性の悲しみが詰まったその部屋は、甘くスッパイ思い出の場所である。僕には上村氏の描く女性達が沢山周りにいたように感じた。
そんな思い出もリンクするから、上村氏の絵にノスタルジーを感じるのであろう。
「同棲」という言葉が「不貞」であり、市民権を得ず「貧困」と同居していた時代の思い出である。
子供の頃に大人の世界を覗いた思い出として、「上村一夫」と「大信田礼子」があるから、
このレコードを買わずにおれなかったのである。
あ、今日知ったのだけど、この曲の作詞も、上村一夫氏である。
氏は1986年45歳の若さで亡くなられている。
ちょっとお年をめされてますが・・・・・
かぐや姫の「神田川」も同じような世界観で映画にもなったけど、ビジュアル面で上村氏のイラストや自分の好みの女優さんということもあり、どうしても「同棲時代」に軍配が上がる。
楽曲の良し悪しではなく、あくまで思い出の部分である。